『笑い』も工芸も 
 本物のぬくもり

人・街ものがたり
(中日新聞      1998.10.1)
に取り上げていただきました

 「何でも本物に触れるということが大切だと思うんです」 片岡弘志さん(41)=小牧市光ケ丘二=は趣味の人だ。会社員だが、小牧市の落語愛好者で作る「小牧落語を聴く会」の世話人を務め、木と革の工房「T&T」も自宅に開いている。

 岩倉市の出身。「小学生のころからラジオの落語が好きで、高校で落語研究会を結成。聴くばか
りですが、就職後も社内に同好会をつくりまして」と、落語に傾ける情熱はすごい。
 
 結婚後、三十歳前に家を持とうと考えた。妻とあちこちを回り桃花台にも。「公園で遊んだりして、人と自転車専用の道路『緑道(りょくどう)』があるのが気に入りました」。
 
 一歳の長女を連れて入居したのが昭和61年。長男も生まれた2年後、中堅落語家を年に三回、小牧に呼ぶ、小牧落語を聴く会の発足を新聞で知った。

 「最初は一番前の席で笑っている会員だったんですが、3人いる代表世帯人と知り合い、四人目の世話人になってしまいました」
 「聴いてみたい落語家が多くて」と、平成5年からは落語を聴く会の開催を年4回に増やした。「江戸時代から語り継がれ、淘汰(とうた)されてきた作品は、それだけ話が洗練されている本物。同じ話を何回聴いても笑えるんですよね」と落語の魅力を語る。

 レザークラフトは二十一歳の時、岩倉市の市民講座で知った。牛革にカッターで切り込みを入れ、周りをつぶして色をつける作業に没頭。鉛筆立てやメモホルダーなどの作品を、落語を聴く会で呼んだ落語家にプレゼントしている。「木のおもちゃ作りは長女の幼稚園時代、家具職人だった弟から電動糸ノコを譲り受けたのがきっかけ」。電車、バス、ぬいぐるみを寝かせるベッドなど、子どもが喜びそうな作品ばかりで「7年前に長女と長男の名前の頭文字を取り『工房T&T』としました」。

 「落語も革も木も本物に触れる良さがある。本物にはぬくもりがあるんです」。さらに、登山の趣味もある片岡さん。「家族の協力があってこそです」と、妻への感謝も忘れなかった。

必見!片岡 山遊倶楽部のホームページ