桂吉朝独演会を、小牧商工会議所で聴いた。
昭和63年11月に発足した、この”小牧落語を聴く会”、30回記念の今回は、ナマのお囃子つきという豪華版である。
上方落語には、途中にBGMとして、三味線や太鼓などが入る”ハメモノ”があり、これは演者と下座の呼吸が合わねばダメだから、テープ録音で代用というわけにはいかない。せっかくの機会なので、演目も「宿屋仇」「七段目」という結構なセレクション。
落語好きなシロウトが集まり、会員制で始めたこの催し、岐阜県や三重県、静岡県からもはるばる来るファンもある一方、会員の交代も多く、毎回の赤字を主催者4人が分担しつつ、足かけ10年目を迎えた。
米朝の10人目の弟子で今が旬の吉朝だから、内容は言うことなし。「宿屋仇」など、たっぷり1時間かけて有難い。弟子のあさ吉も、ありふれた「子ほめ」を面白く聞かせた。
下座を含めて5人だから、出費もさぞやと思うが、続けてほしい。
第30回『桂吉朝』1997年3月30日